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琥珀の望遠鏡
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 19:44 / [ 修正]
琥珀の望遠鏡―ライラの冒険シリーズ〈3〉
琥珀の望遠鏡―ライラの冒険シリーズ〈3〉

著:フィリップ プルマン|出版社:新潮社|発売日:2002/01|単行本|4105389033|

ライラは洞窟にいた。薬を飲まされ,眠りつづけてはいたがともかくまだ生きていた。ウィルは天使やトンボ乗り,イオレクらと協力してライラを救い出す。そして,新しい世界への窓を切り開きなすべき事を果たすために冒険を続ける。
あまり書くとネタバレになってしまうのでこれくらいにとどめておきます。
1,2巻でライラやウィルにとって大切な人が死んでしまうが,この3巻への伏線だったことがわかります。彼らの死なしでは冒険は終わらないのです。
しかし,読んでいて辛かった。涙がぽろぽろ…
世界を救うというのは,こんなにも多くのものを犠牲にしなくてはならないのか。

大きなテーマとして「神」「教会」「宗教」が挙げられるけれど,私が心に残ったのはライラとウィルがメアリーと語り合うところ。
<ぬきがき>
「あなたの世界のオックスフォードで,はじめて会ったとき」ライラはいった。「科学者になった理由のひとつは,善悪を感じないですむからだといったわ。修道女だったときは,善悪を考えてたの?」
「さあ、ノーね。でも,どう考えるべきかはわかってたわ。なにもかも教会の教えるとおりに考えてたの。そして,科学を勉強するときには,まったくほかのことを考えなくてはならなかった。だから,善悪について考える必要はなかったのよ。」
「でも,いまは考えるの?」ウィルはいった。
「考えなきゃならないと思うわ。」メアリーは正確にいおうとした。
「神を信じるのをやめたとき,善悪を信じるのをやめたの?」
「いいえ。ただわたしたちの外に善の力と悪の力があると思うのをやめたのよ。そして,善と悪は,人間のおこないについていえることで,善人と悪人がいるんじゃないと信じるようになったの。わたしたちにいえるのは,これはいいおこないだ,だれかの役にたつから,あれは悪いおこないだ,だれかを傷つけるから,ということだけ。人間は単純にレッテルをはるには複雑すぎるわ。」
「そうね」ライラはきっぱりとした口調でいった。
「神がいなくてさびしく思った?」ウィルはきいた。
「ええ,とても」メアリーは答えた。「いまもそう思うわ。いちばんさびしく思うのは,世界全体とつながっているという感覚がないことよ。以前は,神とつながっている,神がいるから,神のすべての創造物とつながっている,と感じてたの。でも,神がいないとなると・…」
<ここまで>

コールター夫人やアスリエル卿などの書き方はまさに善悪どちらともいえる非常におもしろい人物で,複雑な人間性がよく出ていると思いました。アスリエル卿よりは,やはりコールター夫人の方がわたしには分かりやすい。簡単に人を殺すような女でも母の部分は切り捨てられないあたり…
おなじみのイオレクやセラフィナ・ペカーレの他にトンボ乗りの勇敢なスパイが新しく加わるんだけど,すごく魅力的。ダイアモンド型の骨格を持つ知性ある生き物ミュレファ。今回の登場人物もみな存在感があります。
それにしても渦巻くダストの美しさ。

死者・天使・神(オーソリィティ)・教会の書き方はとても大胆かつ刺激的でした。訳者のあとがきによると,宗教界でも問題になっているとか。
一読しただけでは消化しきれなかったので,一巻から再読してみようと思っています。
(2002.02.10読了)
夢の岸辺三部作
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 13:58 / [ 修正]
現実の地平 夢の空―夢の岸辺
現実の地平 夢の空―夢の岸辺

著:妹尾 ゆふ子|出版社:講談社|発売日:1994/04|文庫|4062551659|
「太陽の黄金 雨の銀」「天使の燭台 神の闇」「現実の地平 夢の空」の3作からなる「夢の岸辺」物語。古書店巡ってようやく全巻そろいました。

物語は、自他ともに見とめる「委員長」小泉とのんびりマイペース男水谷が主人公。2人は、とある夢の中にとらわれてしまう。気がつくと、水谷は、金髪にリボンにセーラー服(毛脛はそのまま)という女装スタイル。一方小泉は魔女の格好でホウキにまたがり空をトブこともできる。面食らう2人。チエを出し合いつつさまよう内に、小泉は「佐藤千鶴」という同級生の夢の中だと主張し始める。しかし、水谷にはそんな同級生の心当たりがない。当惑しつつも夢から出ようと模索するが。。

ネタバレになるので、あまり感想はかけないのが残念。とにかく小泉と水谷の掛け合い漫才のような会話が楽しい。水谷×峰村、佐藤もいいなあ。ついついフフッと笑みがもれちゃう。なんだか、自分が「乙女」だった頃のくすぐったい感じがよみがえるような。。小泉のもがいて苦しんでそして成長していく姿が愛しいです。

しかし、水谷。いいキャラです。スキだわ。あと、佐藤千鶴とか峰村ちゃん。スキスキ。もちろん、小泉も。愛すべき人満載。古書店で探して読んでも不足なし!見つけたら読んでみて!

2001-09-09
現実の地平 夢の空―夢の岸辺講談社X文庫―ホワイトハート


天使の燭台 神の闇―夢の岸辺講談社X文庫―White heart


太陽の黄金 雨の銀―夢の岸辺講談社X文庫―ホワイトハート
魔法の声
著者:コルネーリア フンケ
更新日:2007/08/17(Fri) 22:47 / [ 修正]
魔法の声
魔法の声

著:コルネーリア フンケ|出版社:WAVE出版|発売日:2003/11|単行本|4872901711|

少女メギーの父モーは、物語の登場人物をこの世へ呼び出す魔法の声を持っていた。9年前、その声に呼びだされてしまった登場人物と引き替えに、母親が物語の世界に消えてしまった。そんな事情を知らされていないメギーは父と叔母とともに『闇の心』というおはなしから飛び出た悪者に連れ去られ、悪と立ち向かうはめに。名作がたくさん出てくる「本」をめぐる冒険ファンタジー。
本の愉しさがあちこちにちりばめられた物語。展開が早くてがーっと流されながら読む。物語の設定はとても魅力的。誰でも「物語の中に入っていきたい」と思ったことはあるはず。そんな夢のようなことを実現する力をメギーの父は持っている。(その力が元で辛い思いをすることになるのだが。)登場人物がそれぞれにハードな人生を送っていたので,その心の内を丁寧に書いていたらさらにおもしろくなっただろうなと思う。うーん,そうすると暗くなっちゃうか。おもしろい舞台設定で,怒涛の展開。愉しく読めます。引用されている本が大量。こちらも読みたくなります。
扉の書
著者:安田 晶
更新日:2007/08/18(Sat) 20:49 / [ 修正]
扉の書
扉の書

著:安田 晶|出版社:講談社|発売日:2003/06|文庫|4062556758|

『扉の書』―それを読み解いた者は、永久に老いない肉体と、この世の記憶を失うことなく後の世へも更なる次の世へも自在に行ける。だが、七百年前盗み出されてからこれまで、解読はおろか、その留め金さえもびくともしたことがないのだ。現在の所有者・老魔術師キルムスが途方に暮れる中、彼の元へ若い女が訪ねてきた。
「わたしと取引を」。
謎解きの鍵を持ってきたと言うエリル。読めぬ文字、閉じた扉を巡る二人の怒涛の冒険が始まる
これはおもしろかった!倫子さんの感想を見て購入してあった積読本。最近ゆめのみなとさんの感想を読んで思い出し,棚からひっぱりだして読んでみる。

ちょっと文章が硬い感じがするが,そこがまた内容に合っている。まさに,別世界が本の中に広がっていて,ゲドっぽい。これからどうなるの?というところで,終わってしまったのはちょっと残念な気がする。勿論,おじ様キャラに弱いワタクシはしっかりキルムスが気に入ってしまった。この著者はこれからチェックしておかなくては。キルムスのその後も読みたいなあ。
青空のむこう
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 09:41 / [ 修正]
青空のむこう
青空のむこう

著:アレックス シアラー|出版社:求龍堂|発売日:2002/05|単行本|4763002112|

ぼくはまだ決めかねてた。アーサーはぼくに背中をむけて歩きだした。そのとたん、エギーやママやパパや友だち、ぼくが知ってる人たちの顔が次々に浮かんで、どうしてももう一度会いたくなった。みんながいなきゃ生きていけない。死んでることだってできない。すぐにぼくは決心した。アーサーの後を追いながら呼びかけた。
「待って、アーサー。ぼくも行く」
アーサーは立ち止まってぼくを待った。それからふたりで駆けだした。“生者の国”を目指して―。
「感動の」とかで評判になっている本にはついつい手がのびない私ですが,たまたま図書館の返本コーナーにあったのが目に付いて借りてみました。死んだ少年の「生き生きとした」語り口は,ユーモラスで決して暗くない。彼のやり残したことというのが本当に身近なことで,却って涙を誘われてしまいました。分かってるのに,泣かされてしまいましたよ。評判になるのが分かります。ジェリーとのエピソードもよかったなあ。
七姫物語
著者:高野 和
更新日:2007/08/18(Sat) 20:50 / [ 修正]
七姫物語
七姫物語

著:高野 和|出版社:メディアワークス|発売日:2003/02|文庫|4840222657|

ある大陸の片隅。そこでは、七つの主要都市が先王の隠し子と呼ばれる姫君を擁立し、国家統一を目指して割拠した。その中の一人、七宮カセンの姫に選ばれたのは九歳の孤児カラスミだった。彼女を担ぎ出したのは、武人のテン・フオウ将軍とその軍師トエル・タウ。二人とも、桁違いの嘘つきで素姓も知れないが、「三人で天下を取りにいこう」と楽しそうにそう話す二人の側にいられることで、カラスミは幸せだった。しかし、彼女が十二歳になった時、隣の都市ツヅミがカセンへの侵攻を始める…。第9回電撃ゲーム小説大賞“金賞”受賞作。時代の流れに翻弄されながらも、自らの運命と真摯に向き合うひとりの少女の姿を描いた新感覚ストーリー。
久しぶりにこの手の本を読むと,ページの白さとその表現に戸惑う。慣れると気にならなくなるんだが。
さて,物語はカラスミという少女が語り手となり進んでいく。ぽよんとした少女なので,突っ込みに欠けていてその分重さが足りないが,読んでいて不快ではない。前向きに生きるカラスミがいい。1巻ということもあり,今後を楽しみにしたい物語だった。
狐笛のかなた
著者:上橋 菜穂子
更新日:2007/08/17(Fri) 09:32 / [ 修正]
狐笛のかなた
狐笛のかなた

著:上橋 菜穂子|出版社:理論社|発売日:2003/11|単行本|4652077343|

ひとの思いが聞こえる「聞き耳」の才を持つ少女・小夜が幼い日に助けた子狐は、恐ろしい呪者に命を握られ「使い魔」にされた霊狐だった。森陰屋敷に閉じ込められた少年・小春丸、そして小夜と霊狐・野火。彼らの運命は?
ああ,いつものことながら,あまりにも好きな本だと冷静に感想が書けません。
小夜も野火も小春丸も花乃も,みんな一生懸命に生きているのが本当に伝わってきて,涙が溢れた。花乃と小夜の一途さ,優しさ,強さが物語を支え世界を支えている。それを確かに伝えてくれる上橋さんの凄さ。しばらくぼうっとしてしまいました。

上橋さんの作品はいつも1文字目からぱあっと物語の世界が眼前に広がる。まるで,映画を見ているような,それどころか自分がそこにいるような感じがしてくる。だから最後のページを繰り終えた途端に,ほーっと脱力してしまう。
登場人物一人一人が,大切に大切にえがかれていて,一人一人の背景にまた違う物語が見えてくるほどだ。小春丸は,どうなったのか。大朗の過去にはどんなことがあったのか。鈴にはどんな人生があったのか。久那や玉緒は・・・

少しずつ少しずつ読もうと思っていたのに,読み始めると一気に物語に心を持っていかれてしまい,読了してしまった!ああ,もう少しこの世界に浸っていたかったのに。再読して,もう少し冷静になったらまた感想を追記します。

白井さんの画も素晴らしい。表紙がすごく綺麗

[[理論社特集ページ:http://www.rironsha.co.jp/tokushu/koteki/index.html]]
銀のキス
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 23:20 / [ 修正]
銀のキス
銀のキス

著:アネット・カーティス・クラウス , 他|出版社:徳間書店|発売日:2001/03|単行本|4198613303|

16歳の少女ゾーイは、死に向かっている母のことで毎日思い気持ちで暮らしている。自分は奈にもしていないのに…母の看病に疲れ果て自分と話しもしなくなった父、引っ越していく親友ロレイン。母の死という現実からわが子を遠ざけようとする両親の気持ちがわかりながらも、のけ者にされていることへの苛立ち、悲しみ。
いろんな感情に包み込まれ身動きが取れなくなっているゾーイが出会った美しい少年。
彼はサイモンと名乗り、自分の素性を話しゾーイに救いを求める。
サイモンに引かれるゾーイは、彼を助けることを約束してしまう。

サイモンが母親の敵と復讐を誓うクリストファーに立ち向かう2人。

自分の生活に垂れ込めてくる死の影に怯えるゾーイ。
不変の生に苦しみながらも、死への恐れを消せないサイモン。
不変とは、変化とは。
C.S。ルイスやサトクリフを幼い頃に夢中だったという作者が書きあげた吸血鬼と少女の物語。
2001-07-30
歌う石
著者:O.R.メリング
更新日:2007/08/17(Fri) 10:15 / [ 修正]
歌う石
歌う石

著:O.R.メリング|出版社:講談社|発売日:1995/12|単行本|406207933X|

自分は、何者なのだろう。これって、誰もが考えることではないかしら。あるいは、何者になるのだろうって。
ケイは、捨て子でいろんな里親家庭を回りひとりでやってきた。また、時々幻想を見ることもあり、悩んでいた。自分のルーツがわからず、いつも「自分は誰か」を考えている。そのケイの元に差出人不明の「不思議な本」が届く。古アイルランド語で書かれたそれらの書物はどれも古代の石碑を巡る話が書かれてあった。
ケイは、その話に惹かれるようにアイルランドへ旅立つ。
アイルランドで、石碑「歌う石」を探すケイは、不思議なことに過去の世界へタイムスリップしてしまう。「歌う石」に導かれて辿り着いたケイはアエーンという少女と出会う。
アエーンは、記憶をなくしおびえていた。ケイとアエーンは何故出会ったのか。謎の書物が伝えるものは何か。2人は賢者フィンタン・トゥアンを訪れ、助けてもらうかわりに古えの4つの宝を探すたびに出る。
2人の運命とトゥアハ・デ・ダナーン族、フィルボルク族、ゲーディル族、フォルモール族の戦いが複雑に絡み合い、壮大な運命のタペストリーを織り上げていく。

女魔術師となってアエーンを助けるケイ。かっこいいんですよ。アエーンがまた、赤銅色の金髪だそうで血気盛ん。出てくる男性がまた素敵。カハル、アマージン。
アエーンとアマージン、ケイとカハルのロマンスもまたいいんです。物語もいろんなエピソードが収斂してひとつの結末に至るところが素晴らしい。ケイの物語は続きがありそうな予感を持たせて終わっているので、続きが読みたいなあ。出てるのかしら。

メリングの「妖精王の月」「夏の王」「歌う石」の三作を読んだが、これらの中では一番好き。あとは「ドルイドの歌」のみ。
ライラエル
著者:ガース・ニクス
更新日:2007/08/17(Fri) 09:51 / [ 修正]
ライラエル―氷の迷宮
ライラエル―氷の迷宮

著:ガース・ニクス|出版社:主婦の友社|発売日:2003/09/28|単行本|4072336106|

『サブリエル』の死闘から十四年――古王国では、アブホーセンとなったサブリエルを嘲笑するように各地で死霊がらみの事件が頻発していた。巨大な力をもつなにものかが裏で糸を引いているらしいのだが、それが誰なのか、何なのか、誰にもわからない。同じころ、クレア氷河の奥では、十四歳のライラエルという少女が死ぬほどの絶望感に襲われていた。その歳になってもいまだクレア族特有の「先視の力」を授からない彼女は、一族のつまはじきもの。わたしなんか、もうこれ以上生きていても意味がない――。自殺を決心し、絶壁の崖の上に立つライラエル。だが、そんな彼女の目の前に、ほかでもないサブリエルが現れる。そして、千年以上も前に予言されていたライラエルの運命がついに明らかになったとき、血にまみれた恐るべき死闘――記録にも残っていないはるか昔、チャーター魔術が創設されたときからすでに運命づけられていた恐るべき闘いがはじまった。古王国の未来は、ひとりの可憐な少女の手にゆだねられることになったのだった。『サブリエル――冥界の扉』に続き海外で数々の賞を受賞、高い評価を得たダークファンタジーの傑作がついに刊行。
NETで感想を拾ってみると,あまり評判よろしくない?(笑)
私は結構好きでした。面白かった。「サブリエル」ではっきりしていなかった古王国のことも丁寧に書かれているし,クレア族の図書館はおもしろそー。行ってみたい!しかしサブリエルとタッチストーンの息子,何とかならないのか。タッチストーンもそれなりにとぼけてましたが,輪をかけて情けない。ライラエルは,出生が出生だけにちょっとひねくれて内気な面もあるが,それを克服していくところが応援したくなる。「不評の犬」がいいわ。モゲットもたじたじ。
謎が解決されずに終わってしまう,思いっきり「続く」のお話なので,欲求不満は残りますな。
あと,値段。3200円はないと思う。誰が買うの??
ポプラの秋
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 13:44 / [ 修正]
ポプラの秋
ポプラの秋

著:湯本 香樹実|出版社:新潮社|発売日:1997/06|文庫|4101315124|

夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越した。不気味で近寄り難い大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持ちかけた―。18年後の秋、お葬式に向かう私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに甦る。世界で高い評価を得た『夏の庭』の著者が贈る文庫書下ろし。
父親の事故死でポプラ荘へ越してきた母と千秋。千秋は,日常のあちこちに口をあけているマンホールから必死で身を守るうち,体を壊してしまう。日中,ポプラ荘の大家のおばあさんと過ごすことになる。ポパイに似ているおばあさん,最初はこわかったのだが,千秋は次第におばあさんと心を通わせて行く。ある日,千秋はおばあさんの秘密を知る。おばあさんは,あの世へ届ける手紙を預かって回っているのだ。

静かで,しっとりした物語だった。あの世へ届ける手紙を預かるおばあさんもなかなかいいし,登場人物がみんな何だかいい。母を守ろうとする子と,子を守ろうとする母。でも,からまわりしてしまうんだよな。切ないです。あとがきの,作者のおばあちゃんの言葉が心の残る。「あのね,あたしなんか後で考えて,『ああ,あの時は,あんなに若かったのに』って思ったことが山ほどある。1日1日をだーいじに,好きなように生きなさいよ。」わたしも似たようなこと,言われたことあるな。もう死んじゃったおばあちゃんに。(1999/10/16)
パラサイトムーン〈2〉鼠達の狂宴
著者:渡瀬 草一郎
更新日:2007/08/17(Fri) 11:18 / [ 修正]
パラサイトムーン〈2〉鼠達の狂宴
パラサイトムーン〈2〉鼠達の狂宴

著:渡瀬 草一郎|出版社:メディアワークス|発売日:2001/08|文庫|484021882X|

国内有数の製薬会社、真名井製薬の研究室で爆発事故が起こった。死者は一名―研究所の女性研究者・水本美春である。だがその事件の裏には隠された真実があった。死んだ水本美春は、迷宮神群と呼ばれる異形の"神々"の研究者であったという恐るべき真実が…!事件は闇から闇へと葬り去られ、だがその現実を受け入れられないでいる少女が一人―水本冬華である。美春の妹である彼女は、神群の存在もそれに対抗するキャラバンの存在も知らないまま、事件の裏に隠された真実を知ろうと動き始めた。
タレント(時代劇新人女優)の冬華が主人公。姉の美春が例の神群に取りこまれてしまいながらも,必死に妹を守ろうとするのが切ないよなあ。「陰陽」と同じく悪いのは誰だ?って考えると本当に人間っていうのは罪深い。ラブクラフトはちょっぴり読んだだけなのでよく分からないけれど作者後書き等を見ると多少意識はされているようだ。神・・というより異界の民は続々増えそうなので,まだまだ愉しめるぞ。
パラサイトムーン―風見鳥の巣
著者:渡瀬 草一郎
更新日:2007/08/17(Fri) 11:15 / [ 修正]
パラサイトムーン―風見鳥の巣
パラサイトムーン―風見鳥の巣

著:渡瀬 草一郎|出版社:メディアワークス|発売日:2001/05|文庫|484021820X|

人の周囲にその人物の感情の"色"が見える高校生―希崎心弥。彼は幼なじみ、露草弓の初めての里帰りに同行することになり徒帰島に向かう。無事に祖父との初対面を済ませた弓であったがやがて二人にとって恐るべき事実が明らかになる。実は島には「波谷様」と呼ばれる信仰の対象がおり、そしてその『神』は信者に特別な力を分け与えていたというのだ!さらにこの世に迷宮神群と呼ばれる神々がおり、その眷属と神々を狩る者たちの間で凄絶な争いが今も続いていること、そして心弥自身の他人の感情の"色"を読みとる能力もまたその神群の一人からもたらされたものだということを知った心弥は…!
表紙のイラストにちょっとヒイテしまいましたが,陰陽ノ京シリーズに惚れてしまったので購入。どんな話かと思いきやこれもHIT!でしたね。シリーズ一巻目ということでこの世界観のさわりを見せてもらったわけですが,たくさんの「神群」というものがいることや時にそれが増えるらしいということなどまだまだ広がりそうな物語です。
ストラヴァガンザ―仮面の都
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 22:45 / [ 修正]
ストラヴァガンザ―仮面の都
ストラヴァガンザ―仮面の都

著:メアリ ホフマン|出版社:小学館|発売日:2003/11|単行本|4092903715|

ストラヴァガンザとは、時空をこえて、一つの世界からべつの世界へと旅することをいう。その旅人が、ストラヴァガンテだ。21世紀のロンドンの少年ルシアンは、ふとしたことで、時空をこえる術を身につけた。ストラヴァガンテとなったルシアンは、異次元の世界、16世紀のベレッツァへと旅立つ。大魔法使い、女公主、スパイ、マンドリエーレ…。ベレッツァで出会うふしぎな人たちとパラレルワールドの大冒険がはじまる。
おもしろかった。病気の少年が異界へという物語では「ネシャン・サーガ」があるけれども,それよりも躍動的。女公主をめぐる陰謀に巻き込まれてしまう主人公が,現世と異界を行き来しながら物語は進む。女性が強くて元気があるのがまたよろしい。
「海との婚礼」のシーンは,どこかで読んだことが・・・。マイヤーだったっけ?記憶が怪しくなっているなあ。本当にこういう風習がベネツィアではあるのかしらと調べてみたら,チェルヴィア(ラヴェンナ近郊)というところでキリスト昇天祭の日曜日に「海との婚礼の祭典」があるようです。詳しいことはわかりませんが。
ところで,表紙はあまり好きではありませんが,挿画が朝倉めぐみさんです。これを知っていたら,図書館で借りずに購入していたかもしれません。女公主や建物などの素敵な挿画が楽しめます。
サブリエル
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 00:21 / [ 修正]
サブリエル―冥界の扉 (古王国記)
サブリエル―冥界の扉 (古王国記)

著:ガース ニクス|出版社:主婦の友社|発売日:2002/10|単行本|4072331120|

大死霊に捉えられた父親を助け出すために、18歳のサブリエルは単身、古王国に乗り込んだ。冥界から蘇った死霊たちがはびこる古王国で彼女を待ち受けていた運命とは…。オーストラリア、米国で話題になったファンタジー。
サブリエルは,イギリスに似た国の寄宿学校で暮らす18歳。真面目で,ネクロマンサーとしての術を父親から教えられていた。その尊敬すべき師でもある父親からの連絡が途絶え,「使者」から父親のベルと剣が届けられた。これは,父親に何かあったということだ。サブリエルは,幼い頃に出た古王国へ向かう。

サブリエルは,凛としたいい感じの女の子。死霊使いの話なので,結構人も死ぬし,暗い場面も多いんだけど意外と爽やかな感じがするのは,サブリエルの性格故かも。

タッチストーンもいい。フリーマジックや,チャーター魔術という世界もうまい具合に機能していて,とてもおもしろかった。続編も是非読みたい。

「スピリット・リング」がお好きだった方にはいいと思いますよ。
エンジェル エンジェル エンジェル
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 13:10 / [ 修正]
エンジェル エンジェル エンジェル
エンジェル エンジェル エンジェル

著:梨木 香歩|出版社:原生林|発売日:1996/04|単行本|487599074X|

叔父さんたちが,アメリカへ行くことになって,ねたきりのばあちゃんを預かることになった。わたしは,カフェイン依存症で癒しを鑑賞魚に求めた。水槽のモーターにスイッチを入れ,モーター音が響くようになると,ばあちゃんが夜中に覚醒するようになる。ばあちゃんは,自分をさわちゃんと呼べといい,わたしをコウちゃんと呼ぶ。いつしか,コーヒーを飲まなくても落着けるようになっていたが,ある日水槽のエンゼルがテトラに攻撃を始める。
素敵なおばあさんが2人も出てくるので嬉しい。ばあちゃんとばばちゃま。梨木さんのえがくおばあさんは素敵な人が多い。『西の魔女が死んだ』も,『裏庭』も。人間の内面にいる悪魔と天使。神様は,なぜこうも不完全な生き物を作られたのか。いや,不完全だからこそ,惹かれ合い高まり合うのだろうか。(1999/10/14)
エラゴン
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 16:32 / [ 修正]
エラゴン 遺志を継ぐ者―ドラゴンライダー〈1〉
エラゴン 遺志を継ぐ者―ドラゴンライダー〈1〉

著:クリストファー パオリーニ|出版社:ソニーマガジンズ|発売日:2004/04|単行本|4789722309|

ドラゴンライダー……
竜と心を交わし、強靭な体と魔法を受け継ぎ、
剣の使い手である誇り高き種族。
かつて森と山脈の国アラゲイジアは、ドラゴンライダーの力で、
繁栄をきわめた。影にうごめく怪人族アーガルや邪悪な勢力をしりぞけ、
何千年も黄金の時代が続いた。人間とドワーフ族は友人であり、
エルフ族の姿もそこにあった。
しかし、黄金の時代も永遠ではなかった。ひとりの裏切り者が
十三人の仲間とともに国をのっとり、善なるライダー族と
ドラゴンは滅ぼされた。
そしていま、邪悪な力が世界を支配しようとしている。
残されたドラゴンの卵は三つ。ドラゴンライダーをよみがえるのか……。
図書館本。分厚かったけど,面白く読めた。平たく言うと指輪物語風ドラゴン飼い少年成長物語。エルフもドワーフも,怪物人間も出てきます。ガンダルフのような老ブロムも出てくるし。登場人物の人間関係については,ちょっとした謎をちりばめてあって,魔女の占いによるとかなりのロマンスもあるらしい。これは,続編も読まなくては!しかし,これが,20歳前の方の書いた本だというのはすごいね。ただし,軽めなのはいなめない。巻を重ねるごとに深まってくるといいな。戦闘シーンが多いので,映像化には向いているかも。
アブホーセン
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 13:42 / [ 修正]
アブホーセン―聖賢の絆
アブホーセン―聖賢の絆

著:ガース ニクス|出版社:主婦の友社|発売日:2004/05|単行本|4072386413|

ライラエルとサムは、巨大な力をもつ何者かによって操られている友人ニコラスの救出に向かった。めざすは、“紅の湖”。その湖畔では、見えない敵―歴史書にも記されていないほど古い“悪”がじょじょに姿をあらわしつつあった。太古の“悪”の復活―それは、この世の終わり、すべての生命の終焉を意味する。一方、アンセルスティエールでは、古王国国王タッチストーンとサブリエルがテロの犠牲になった。新アブホーセンとなったライラエルは、自分の責任を果たし、罪のない人々を救うために、必死になって敵を追う。だが、彼女を待ち受けていたのは、予想をはるかに超えた惨状だった―。
最初はあれこれ忘れていて,えーっとニックってだれだっけ,なんて読みながら思い出す始末。
ライラエル,サムがメインで,サブリエル,タッチストーンの場面は紙の色が違う。タッチストーンも立派な王になっているようで,一安心。
2巻の「ライラエル」では,もたもたうじうじしていたライラエルとサムが自分の責務を自覚し成長していくYAばりばりの物語でした。話の展開も早くて面白かった。古王国っていう枠組みがしっかりしていて,創世の謎が少しずつ明らかになっていくところもいい。まあ,深みという点ではちょっと。。。だけど,次も気になるところ。ロマンスもなしだったけど,次回に含みを持たせてあるし。まだ執筆はされていないようだけど,訳者あとがきによると続編が出るような感じ。次も翻訳されますように!
アバラット
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 16:49 / [ 修正]
アバラット
アバラット

著:クライヴ バーカー|出版社:ソニーマガジンズ|発売日:2002/12/18|単行本|4789719731|

―母なる大洋イザベラ海とそこに浮かぶ25の島々の世界。亡霊たちのひそめきが響きわたる廃墟、陽光に満ちた楽園、9年にいちど卵から人間の子を孵えす鳥の棲む島、海賊たちの根城、歓楽の不夜城、そして、残忍な王が支配する真夜中の島、謎に満ちた25時の島…。異形のものどもがうごめき、昼と夜がせめぎあう。アバラットでは、すべてのことが起こりうる。どこか、まだあなたが知らないところに、“時”が“場所”となる世界がある。未知なる旅の扉は、いま、ここに開かれた―アバラットへようこそ。
キャンディの冒険は,正直言ってちょっと陳腐だったけれどそれでも愉しめた。登場人物がどれも強烈で,これほどの亜人種?を造り上げるのはすごいなあと思う。イメージがわきやすい描写に本人が書いた挿絵と来れば映画なんかにしなくても十分だと思うけど。
気になったのは訳。すごい古いいいまわしあり,難しい言葉ありと最初は抵抗があった。慣れてくると,結構気持ちがいいです。何だろう,うーん八犬伝とかを読んでいる気分すらしてくる。
巻末の「クレップ年鑑」を先に読むと世界観は分かりやすいかも。私は結局読んでいません。
アドヴェント・カレンダー
著者:ヨースタイン ゴルデル
更新日:2007/08/17(Fri) 10:44 / [ 修正]
アドヴェント・カレンダー―24日間の不思議な旅
アドヴェント・カレンダー―24日間の不思議な旅

著:ヨースタイン ゴルデル|出版社:日本放送出版協会|発売日:1996/10|単行本|4140802774|

11月の終わりの日、ヨアキムは小さな本屋で色あせた美しい手作りカレンダーを見つけた。12月1日から24日までの「アドヴェント・カレンダー」だ。カレンダーの小さな扉を毎日ひとつずつ開けていくと、そこには謎の絵とひとりの少女の不思議な物語が隠されていた。デパートのおもちゃ売場から逃げ出した小羊を追って、少女は時間と空間の旅に出る。驚きと出会いが連続する旅の終わりはいったいどこに。
ゴルデルを読むのは初めて。どのジャンルに分類すればよいのか悩むが、ファンタジーのようなミステリーのような味わいである。クリスマス前に是非読んでほしい。

11月の終わりの日、ヨアキムは小さな本屋で色褪せた美しい手作りのカレンダーを見つけた。12月1日から24日までのアドヴェント・カレンダーだ。カレンダーの小さな扉を毎日一つずつ開けていくと、そこには謎の絵とひとりの少女の不思議な物語が隠されていた。デパートのおもちゃ売り場から逃げ出した子羊を追って少女は時間と空間の旅に出る。驚きと出会いが連続する旅の終わりはいったいどこに?

私はキリスト教徒ではないが、十分楽しめた。
一つの扉に一つの物語。それが毎日連続する物語なのだ。しかも時間・空間を超えてイエスの誕生に立ち会い祝福を与えに行くというもの。それだけではなく、物語に登場する女の子エリーサベトは、実際に行方不明になった女の子と同じ名前でもあるし、カレンダーは魔法のカレンダーだった。最初ヨアキムは一人で物語を読み、その大切な物語をクリスマスプレゼントにするつもりで両親には内緒にしておく。ところがある日見つかって、秘密は家族の物となる。毎朝、ドキドキしながら家族で物語を読む。旅はどんな終わりを迎えるのか?
作者は繰り返し「クリスマスのメッセージは平和」と書いている。キリストのことだけでなく、難民問題も絡ませてクリスマスを祝うものは隣人に手を。。と。与えれば与えるだけ人は豊かになると。
お祭り騒ぎをするだけでなく作者のメッセージを大切にしたいと思った。
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