ジャンル - ミステリ
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魔女が丘
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 09:39 / [ 修正]
Witch Hill―魔女が丘
Witch Hill―魔女が丘

著:マーカス セジウィック|出版社:理論社|発売日:2002/12|単行本|465207722X|

火事で家を追われた少年は、クラウンヒルの村で炎と老婆の悪夢におびえる。村に埋もれた遺跡、突然死に隠された秘密。ヴァルプルギスの夜、すべての謎がひとつになり、伝説はよみがえる…。息づまるサスペンスホラー。
作者は「ヤングアダルト界のスティーブン・キング」といわれている人らしい。なるほど,と頷ける内容だった。ジェイミーが,うなされる夢の大元は実家が火事になったときに妹を自分で救い出すことができなかったことだ。罪の意識がいつもジェイミーを責め立てる。そんなジェイミーを心配した両親によっておばの家に預けられたのだった。

村の丘に隠されていた石灰の絵。(ケルトの白馬でも出てきたもの。もちろん本書では馬ではない)その絵が明らかにした村の歴史。古文書を調べるうちに次第に明らかになる魔女のこと。時代は変わっても魔女裁判の頃と全く変わらない村がそこにはあった。

結局はっきりしない部分を残しつつ物語は終わるのだけど,あれこれ考えるのもまた愉しい。
2002.12.25 (水)
報復
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 20:57 / [ 修正]
報復
報復

著:ジリアン ホフマン|出版社:ソニーマガジンズ|発売日:2004/11|文庫|4789724166|

太陽の街フロリダは、キューピッドに怯えていた――それは若い金髪美人ばかりを狙い、何日も被害者をいたぶったあげく、生きたまま心臓をえぐり出して殺す連続殺人鬼の名だ。
捜査は難航したものの、偶然、キューピッドが捕らえられる。やり手と評判の女性検事補、C・Jが担当することになったが、法廷で犯人の声を聞いた彼女は愕然とした。それは今なお悪夢の中で響く、12年前に自分を執拗にレイプした道化師のマスクの男の声だった! こいつを無罪放免にしてはならない――恐怖に震えながらも固く心に誓うC・Jだったが、次々と検察側に不利な事実が発覚しはじめ……。期待の大型新人による戦慄のサスペンス。
 うーん,よくあるパターンのサスペンス。犯罪の描写がとっても残酷で,最初の数ページでいったん投げ出していたんだけど,棚整理のために読んだ。とてもつらくて痛い話だった。
 残酷シーン以外は,ストーリー的にはありがち。それでも,最後まで読んだのは,主人公であるC.Jが,精神的にどんどん追い詰められていくところがどきどきモノで,負けるな,がんばれと言う気持ちになってしまったから。
 うまいなと思ったのは,弁護士とのやりとり部分。正義との板ばさみや,駆け引きなどを中心に,法廷モノとして書いたほうが面白かったんじゃないかな。
 あれ?ということは,おもしろかったということなのか。
標的のミシェル
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 22:28 / [ 修正]
標的のミシェル (ヴィレッジブックス)
標的のミシェル (ヴィレッジブックス)

著:ジュリー ガーウッド|出版社:ソニーマガジンズ|発売日:2003/06|文庫|478972056X|

美貌の女外科医ミシェル・レナードは、パーティーで一人の男と知り合った。男の名はテオ。若手の検事だった。やがて彼はミシェルが暮らすルイジアナの田舎町を訪ねてきた。名目は釣りをするため。実際は、ミシェルをどうしても忘れられなかったからだ。ミシェルのほうも、テオへの思いが胸中に募りつつあることは気づいていた。だが、恐るべき悪の頭脳集団が彼女のいとこに死をもたらし、さらに彼女自身をも狙っていることは知る由もなかった…。全米ベストセラーの超大型ロマンティック・サスペンス。
謎解きを楽しむ本ではないと思うが,最後あたりにはええーっと驚く仕掛けもあり。「心うち砕かれて」よりもロマンス度合いがupしていて,ちょっとドキドキ。前作と訳者さんが違うので「おれのローラン」的訳はなく,逆に寂しい気もしたり(笑)あとは,テオがたびたびめがねを探す場面がかわいい。ノアも相変わらず。次作「killjoy」ではテオもちょっと出てくるようで,この著者は自分が作り出した人物をとても愛しているみたいね。killjoyあたり,洋書に挑戦してみるか・・
麦の海に沈む果実
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 16:54 / [ 修正]
麦の海に沈む果実
麦の海に沈む果実

著:恩田 陸|出版社:講談社|発売日:2000/07|単行本|4062101696|

「ここに三月以外に入ってくる者があれば、そいつがこの学校を破滅に導くだろう」―湿原の真中に建つ全寮制の学園に、二月の終わりの日に転入してきた水野理瀬。彼女を迎えたのは、様々なしきたりや、奇妙な風習が存在する不思議な学校だった。彼女と学校生活を共にする仲間、「ファミリー」もそれぞれに謎を抱えていた。功は、閉ざされたコンサート会場の中から失踪し、麗子は、湿原に囲まれて外に逃げ出せないはずの学園から消えうせていた。残りのメンバーは、麗子はすでに死んでいるのではないか、と校長につめよる。それに対し、校長が提案したのは、麗子の霊を呼び出す交霊会の実施だった。その場で理瀬に奇怪な現象が襲う。「三月の学園」での奇妙な学園生活を送る理瀬の隠された秘密とは。
これは,私が古い革のトランクを取り戻すまでの物語である。

冒頭のこの一文が物語を全て言い尽くしている。

書き出しを書いたときに,たいていこの話が面白いのか,面白くないのかがわかる。他人の作品でもそうだ。読み出した瞬間に,これが面白くなるか面白くならないかがわかる。

と恩田陸は「三月は深き紅の淵を」の4章「回転木馬」で記している。「麦の海に沈む果実」は間違いなく,冒頭からぐぐっと引き込まれる面白さだ。
閉じられた学園。強烈な個性を持つ変わった校長。消えた生徒たち。「ファミリー」という与えられた「家族」。うーん,面白い。

ラストは「三月は深き紅の淵を」の方が好み。
捜査官ケイト 夜勤
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 16:40 / [ 修正]
捜査官ケイト 夜勤
捜査官ケイト 夜勤

著:ローリー キング|出版社:集英社|発売日:2001/10|文庫|4087604020|

未成年者淫行にもかかわらず無罪放免になった男、幼児を抱く政治家、露出狂。これらの男達が「レディーズ」と自ら名乗る女たちにユーモア溢れる?仕置きを受けていた。世間は(特に女性は)喝采を送った。誰もが、蔓延する男どもの暴力にうんざりしていたからだ。しかし、その後妻に暴力をふるっていた男、レイプ常習犯の死体が発見された。彼らもまた、レディーズによる犯行ではないかと疑われ、捜査が始まる。
市警のケイトは、その捜査に関わるうち、自分のもっとも敬愛する女性がその犯行に関係しているのではないかと悩み、苦しむ。
やがて、捜査班はインターネット上に、妻や恋人を虐待した男の名簿を載せたホームページをつきとめる。
久しぶりにこの手の本を読む。読みながら、TVで流れる幼児誘拐や殺害のニュースを聞くたびに、レディーズならずとも私刑をしたくなる。絶望的な気持ちになる。本書では、インドの嫁殺しの話が出てくるが、少なくともいろいろな国で、少女(子どもといった方がよい)が幼いうちに嫁とされていく事実や、虐待される子どもや妻たちの現実が生々しくでてきて、更に辛い。
千年の黙―異本源氏物語
著者:森谷 明子
更新日:2007/08/18(Sat) 20:54 / [ 修正]
千年の黙―異本源氏物語
千年の黙―異本源氏物語

著:森谷 明子|出版社:東京創元社|発売日:2003/10|単行本|4488023789|

闇夜に襲われた中納言、消え失せた文箱の中身―。
幾重にも絡み合った謎を解き明かす紫式部の推理を描いた第一部「上にさぶらふ御猫」、『源氏物語』が千年もの間抱え続ける謎のひとつ、幻の巻「かかやく日の宮」―この巻はなぜ消え去ったのか?
式部を通して著者が壮大な謎に挑む第二部「かかやく日の宮」。
紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たちの姿を鮮やかに描き上げた王朝推理絵巻。
第13回鮎川哲也賞受賞作。
ちょっと変わった「日常」ミステリ。謎の解き手は紫式部。これだけでも異色だが,本文のいろいろなところに「源氏物語」を書く苦労や,喜びが書かれていてそれを読むのがまた愉しい。呼称や季節の描写などを読むと,漢字の美しさや,時代の風が感じられて新鮮だった。謎解きは猫の件は,途中でわかってしまうが,「かかやく日の宮」は,おもしろかった。

実は源氏物語は全文を読んでいない私だが,読みたくなってしまった。さっそく購入しなくては。
青の炎
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 13:27 / [ 修正]
青の炎
青の炎

著:貴志 祐介|出版社:角川書店|発売日:1999/10|単行本|4048731955|

光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。愛する妹と母のために―。氷のように冷たい殺意を抱いて。人間の尊厳とは何か。愛とは、正義とは、家族の絆とは―。熱き感動を呼ぶ現代日本の『罪と罰』。日本ミステリー史上、燦然と輝く永遠の名作、ここに誕生。
悲しい本。絵空事とは思えないもの。私の関わった子にも継母に虐待を受けているのではないか、と思われる子がいた。何度も足を運んでも事態が好転することはなかった。結局その後、離婚し彼女は祖母の元へ引き取られていった。別の例では、施設に入ることになってしまった子もいる。その方がしあわせに見えてしまうくらい、継父の扱いはひどかった。そういう場合、日本の法律は実に脆弱だ。何もできずにいる自分にあれこれ理由をつけてみたりもする。あちこちの機関に助けを求めても、あまり力になれない。無力だ。

この本では、虐待はない。でも、精神的に追いつめられていく怖さが描かれている。明日は、もしかしたら。。というような。

正義感も責任感も強い秀一が、こんな方法を選ぶしかなかったことが、悲しい。
少女探偵サミー・キーズと骸骨男
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 22:16 / [ 修正]
少女探偵サミー・キーズと骸骨男
少女探偵サミー・キーズと骸骨男

著:ウェンデリン・V. ドラーネン|出版社:集英社|発売日:2003/11|単行本|4087734013|

親友のマリッサと仮装をして肝試しに行ったブッシュ・ハウスで、サミーは暗闇でも光るスケルトン・スーツ姿の男と、椅子に縛られたフランケンシュタイン男に遭遇した…。シリーズ第2弾。
おもしろいです。サミー・キーズ。
ファンになりました。
少女探偵サミー・キーズとホテル泥棒
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 22:18 / [ 修正]
少女探偵サミー・キーズとホテル泥棒
少女探偵サミー・キーズとホテル泥棒

著:ウェンデリン v. ドラーネン|出版社:集英社|発売日:2003/04|単行本|4087733866|


あらすじ:おばあちゃんとマンションで二人暮らしのサミーは中学一年生。ある日、双眼鏡で向かいのホテルをのぞき見していたら、泥棒を目撃してしまった…。おちゃめでオテンバのサミーの名推理がさえる、エドガー賞児童部門受賞作。
もしかして・・・とは思った人が犯人でしたが,サミーのようにちゃんとした推理に基づいたものではありませんでした。くー。すーっと読んでしまったけれど見事です。
いじめっ子をやっつけるあたりも爽快だし,好きなシリーズになりそうです。
十八の夏
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 12:59 / [ 修正]
十八の夏
十八の夏

著:光原 百合|出版社:双葉社|発売日:2002/08|単行本|4575234478|

ある日の川べりでの出会いから信也と紅美子の不思議な交流が始まる…。第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作ほか全4作の連作ミステリー。寡作家の著者が満を持して送り出す癒しの物語。
表題作の「十八の夏」。書店員でシングルパパと過去のある女性(こちらは書店経営)の交流がえがかれる「ささやかな奇跡」。突っ走り純情青年の恋「兄貴の純情」。ミステリの王道をいく「イノセント・デイズ」。どれもよかった。「イノセント・デイズ」以外は,これミステリでいいのかしらんと思わないでもないけど。

わたしが中でもじんときたのは「ささやかな奇跡」。シングルママのわたしとしては,切に心に響きました。どの作品も人の心の襞がとても丁寧に書かれていてじんわりと光原世界に取り込まれていく感じ。素敵なアパートだなあ。素敵な書店だなあ。ほのぼの
2002.09.21 (土)
蛇行する川のほとり
著者:恩田陸
更新日:2007/08/17(Fri) 10:41 / [ 修正]
蛇行する川のほとり〈1〉
蛇行する川のほとり〈1〉

著:恩田 陸|出版社:中央公論新社|発売日:2002/12|新書|4120033368|


蛇行する川のほとり〈2〉
蛇行する川のほとり〈2〉

著:恩田 陸|出版社:中央公論新社|発売日:2003/04|新書|4120033899|

目を閉じれば、今もあの風景が目に浮かぶ。ゆるやかに蛇行する川のほとりに、いつもあのぶらんこは揺れていた。私たちはいつもあそこにいた…。あの夏、あの川のほとりで、少女達に何が起きたのか? 書き下ろし3部作第1弾。
+運命の歯車が回り始めた。あの遠い夏の日と同じように…。毯子の過去に隠された驚愕の真実とは!? 書き下ろし学園ミステリー第2弾
恩田さんは高校生を描かせたらピカイチだ。現役女高生はどう思うかわからないが,自分の高校時代を思い出す私のような世代には実に懐かしい世界がそこにある。

数日間,絵を描くために合宿に誘われただけただった鞠子。だが,不穏なちりちりとした空気が漂い,不安が増す。この辺の不安の書き方も実にうまく,読んでいるこちらもどきどきしてしまう。何だろう,何かとても悪いことが起こりそうだ。。。という感じ。
あちこちにちりばめられたヒントからある程度の展開も考え付くが,そこはどう転ぶかわからない。さて,3巻を・・・
時計を忘れて森へいこう
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 12:57 / [ 修正]
時計を忘れて森へいこう
時計を忘れて森へいこう

著:光原 百合|出版社:東京創元社|発売日:1998/04|単行本|4488012205|

清海という土地にある(清里がモデル)が舞台。「シーク」という環境教育などを行っている団体での小さなできごとを探偵役のレンジャー(自然解説指導員)の護と語り手の女子高生翠が解決していく物語。二人が解決していくのは、おどろおどろしい殺人事件などではなく、人の心の苦しみだ。
(以下引用p.191))

「ときどき思うんです。純粋な悲しみならば、人間は時間がかかっても超えていけるようにできているのかもしれない。遺伝子に組み込まれているのか、神様がそうしてくださったのかわかりませんが。

でも純粋な悲しみに何かが混ざったとき、それは苦しみに変わる。悲しみは人を優しくするけれど、苦しみは人間をむしばんでいく。」
「何かって?」
「たとえば後悔。嫉妬。自責。不信。そう言ったものです。」
(中略)
護さんは事実という糸を集めはじめているのだ。真実という物語を織るために。
悲しみを癒すことは神様と時間にしかできない。だけど苦しみを悲しみに蒸留することは、もしかすると人間にもできる。
(引用終わり)

事実は人によって受け取り方が違う。苦しくてもそこに潜む真実を知ることで人は前へ進めるのかも知れない。一つ一つのエピソードがすとんと心に落ちていって、私にはとても収まりの良い物語だった。読後がこんなに爽やかなミステリも珍しいのではないかと思う。最近読んだ本では恩田陸「光の帝国」のあの話くらい。森の表現も好き。ちょっとずつ選んだので結構時間がかかったが、もう一度ゆっくり読みたい本。
表紙がちょっとどうかと思う。爽やかな感じはするし、おおた慶文は好きなんだけれど。。あれは高校生には見えないかも。。
三月は深き紅の淵を
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 17:01 / [ 修正]
三月は深き紅の淵を
三月は深き紅の淵を

著:恩田 陸|出版社:講談社|発売日:1997/07|単行本|4062087499|

鮫島巧一は、会長が主催するという「春のお茶会」に出席させられることになった。ところがそこには、何やら妖しげな人々が巧一を待っていた…。読む者を不思議な世界へと誘う、4つの物語。(帯)その本はたった一人にだけ、たった一晩だけしか他人に貸してはなりません。かつて一度でも、むさぼるように本を読む幸せを味わったことのある人に
「待っている人々」「出雲夜想曲」「虹と雲と鳥と」「回転木馬」の4編からなる物語。どれも「三月は深き紅の淵を 」という幻の本に関わる話で,ちょっとずつずれている。このずれが何ともいいんだなあ。
どれを読んでも,恩田作品を更に読みたくなる。しばらく恩田さんのものを読んでいなかったんだけど購入してはあるので,まとめ読みができて幸せ。これから「三月シリーズ」をがーっと読むのだ。


子どもに話をしてやるというのは,なかなかいい手段だ。敵の注意をそらさずに引っ張り続けるには,相当面白いストーリーであることを要求されるだろう。児童文学は,子どもを産んだ時の修行にとっておこう。p295
という件があって,「もしかして恩田風児童文学がいつか読めるかも!!」などとちょっと期待してしまったのだった。

おまけ:「出雲夜想曲」には,先日読んだばかりの「禁じられた楽園」の主要人物烏山響一の作品が一行だけ出てきて,おお!っと喜んじゃった。ファン心理だのお。とにかくファンにはおいしい一冊。
資料[[三月シリーズ相関:http://tacet.milkcafe.to/ondariku/world.htm]]
禁じられた楽園
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 13:37 / [ 修正]
禁じられた楽園
禁じられた楽園

著:恩田 陸|出版社:徳間書店|発売日:2004/04/21|単行本|4198618461|

大学生・平口捷は、同級生で世界的天才美術家・烏山響一から招待を受けた。聖地・熊野の大自然の中に作られた巨大な「野外美術館」へと−。めくるめく幻想ホラー。『問題小説』連載に、大幅に加筆・修正を加えて単行本化。
久しぶりの恩田さん。
堪能,堪能。冒頭から不安を煽る描写。読めば読むほど不安が増し,どんどん恐くなり,最後に何が待っているんだろうと思わせる。
烏山響一になぜか興味を持たれた大学生の捷,彫刻家の卵律子が巡る熊野の野外美術館が,気持ち悪かった。響一の目的が何なのかネタバレになってしまうので書けないけれど,私なら絶対進まないよー。

とーっても恐くて,面白いのでオスススメ!!あれこれ情報を読まずに,どーんとのめりこんでください。
黄昏の百合の骨
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 13:10 / [ 修正]
黄昏の百合の骨
黄昏の百合の骨

著:恩田 陸|出版社:講談社|発売日:2004/03|単行本|4062123320|

「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた…。
華麗なる恩田ミステリー。
三月シリーズの最新刊。理瀬の祖母が住んでいた例の館。今は血の繋がらない伯母姉妹が住んでいる。理瀬には,ある目的があって祖母の遺言通り「白百合館」に住むことにするのだが,意外な事件が次々に起きる。

「麦の海に沈む果実」同様,理瀬が要の人物でもあるのだが,狂言回しのようでもあり・・・という絡み合った展開で,実におもしろい。「麦の海に沈む果実」よりも,こちらの方が狂気が感じられて一気読み。白百合館なんて,とてもきれいで百合の花の絶えない館が実は。。。という,うむー。きれいな花には毒がありますな。
今後どうなるんでしょうかねえ。最後も「二人の少年」に含みを持たせてましたし。
汚辱のゲーム
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 13:15 / [ 修正]
汚辱のゲーム 上   講談社文庫 く 52-1
汚辱のゲーム 上 講談社文庫 く 52-1

著:ディーン クーンツ|出版社:講談社|発売日:2002/09|文庫|4062735369|


汚辱のゲーム 下   講談社文庫 く 52-2
汚辱のゲーム 下 講談社文庫 く 52-2

著:ディーン クーンツ|出版社:講談社|発売日:2002/09|文庫|4062735377|

フォークが、栓抜きが、血に飢えた凶器に見える! 美貌の女性ゲーム作家、マーティの心に突如兆(きざ)した残虐な殺人衝動。夫のダスティは精神の均衡を失い消耗していく妻の姿に驚き、原因を探ろうとするが、やがてふたりの周辺で、原因不明の不吉な事件が起き始める。巨匠D・クーンツ、待望の最新サスペンス
上巻は,とにかくマーティとその親友スーザンの異常な心理状態が仔細に述べられていて,ちょっと気分が悪くなるほど。おまけに犯人がこれまたひどいヤツで,そいつの所業が胸が悪くなるくらい書かれていて,正直読むのをやめようかと思いましたよ。犯人は早くにわかってしまうし,先が読めてしまうかのような展開にちょっとなあ。。。。と思っておりましたら,下巻に入って急展開。あれよあれよという間に物語はハイテンションで進みすっかりクーンツにやられちゃったという感じでした。おもしろかったですよ。あまり書くとネタバレになるのでこの辺で。下巻の解説もおもしろいのです。

クーンツは確か日本を舞台にしたホンも出してましたよね?京都かな。(未読)今回の重要な鍵はなんと「俳句」。犯人も俳句をひねるんですよ
これがへたへたで・・・・。
難をいえば,ゴールデンレトリバーのヴァレイにもうちょっと活躍してほしかったわ。頭痛薬を飲みながら読んだ甲斐がありました。
プラチナ・ビーズ
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 17:07 / [ 修正]
プラチナ・ビーズ
プラチナ・ビーズ

著:五條 瑛|出版社:集英社|発売日:1999/02|単行本|408775247X|

人的情報収集活動(ヒューミント)のプロである葉山は、ある日事情聴取した「対象者」の言葉の中にひっかかりを覚える。北朝鮮で何か新しい動きが始まっているのではないか?アメリカ国防省の情報組織、通称「会社」の上司「エディ」の指示で葉山は調査に乗り出す。同じ頃、脱走した米兵の惨殺死体が発見される。日系アメリカ人である横須賀基地NISC(海軍調査軍)勤務の坂下も、同じく調査を開始する。彼らの聞き取り調査の中に、何度も顔を出す謎の男。北朝鮮の有力者と対等に話し、ブランド品をさりげなく着こなす長身の優雅な男。彼の正体は?そして、謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは?日本をターゲットに水面下で展開している大がかりな作戦の全貌が、葉山の前に次第に明らかになっていく。米ソ冷戦構造崩壊後の迷走する北朝鮮とアメリカの諜報戦争を軸に、否応なくそれに巻き込まれていく人間たちの人生模様。そして、国家とは、祖国とはいったいなんなのか。今世紀最後の大型新人が描く、渾身のエスピオナージ。
これは,よく書いたなーというのが最初の感想。スパイ物というとやはり米露とか,英米ものを考えがちだが,日朝ものだとは。1999年に出ているわけだが,その頃ってどれくらいの情報が出ていたんだろう。最後に但し書きで「これはフィクション」と書いてあるが,実在人物名,国名をばんばん出しているんで読んでいるこちらが心配になる。実は勤務地のすぐ近くには拉致被害者の方の家族が住んでおられて,拉致場所も同じくよく知っている場所で実に身近な問題だ。人事ではない,と思う。いろいろなことを考えさせられた本だった。
ブレス・ザ・チャイルド
著者:キャシー・キャッシュ スペルマン
更新日:2007/08/18(Sat) 20:55 / [ 修正]
ブレス・ザ・チャイルド〈上〉
ブレス・ザ・チャイルド〈上〉

著:キャシー・キャッシュ スペルマン|出版社:竹書房|発売日:2001/11|文庫|4812408253|




ブレス・ザ・チャイルド〈下〉
ブレス・ザ・チャイルド〈下〉

著:キャシー・キャッシュ スペルマン|出版社:竹書房|発売日:2001/11|文庫|4812408261|




マギー・オコナーは、3歳になる孫娘のコーディとともに現実的で平穏な生活を送っていた。コーディは、母親である麻薬漬けのマギーの娘ジェナが3年前の夜に置き去りにしたのだった。ところがある日、ジェナとその夫で富豪の実業家エリックが現れ、コーディを連れ去る。実はふたりは悪魔崇拝者で、コーディはこの世を"善"または"悪"に導くカギを握る不思議な力を秘めていた。そして邪教集団はその力を利用しようとしていたのだ。マギーはコーディの行方を追うなか様々な人々と出会う。彼らの協力のもと、孫を救うべく、マギーの巨大な敵との戦いが始まる…。

捕らわれたコーディを救い出すべく、マギーは協力者である刑事や神父、友人らとともに作戦を練るが邪教集団の前に突破口を見出せずにいた。しかし、時は一刻を争う事態となっていた。"神女イシスの使者"であるコーディの力の発現の時が迫っていたのだ。"イシスの護符"が発現されれば世界は平和に満ちるが、悪の手によって"セクメトの石"が発現されたとき、世界は混沌とした闇に包まれ、悪魔のものとなってしまう…。イスラエルとエジプトもその情報をつかみ、独自に行動を起こしていた。果たして世界の光は守れるか?そして、マギーと少女コーディの運命は…。
いやいや,疲れました。積読解消のためにがんばりました。オカルトです。善と悪。神とサタンの駒同士の戦い。一神教の神に縋る思いというのはすごいですね。その辺のちょっと鼻につくところを除けば,まあまあおもしろかった。
コフィン・ダンサー
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 21:23 / [ 修正]
コフィン・ダンサー
コフィン・ダンサー

著:ジェフリー ディーヴァー|出版社:文藝春秋|発売日:2000/10|単行本|4163195807|

ボーン・コレクター事件から約1年半後、ライムとアメリアは再び事件に取り組む。殺し屋「コフィン・ダンサー」を捕まえるのだ。「コフィン・ダンサー」は大陪審である密売人に不利な証言をする予定の証人を消すために雇われたらしい。ライムは「コフィン・ダンサー」を捕らえることができるのか。
前作ではベッドに入ったままだったライムが本作では特注の車椅子で研究室を動き回る。アメリアとの間には微妙な感情の行き違いがあり、アメリアの怒りを買うことに・・・ライムの恐怖に凝り固まった心を「だけどね、神にも絶対はないのよ。」と諭すアメリア。アメリアが現場で活動するのを遠隔指示しかできなライムのもどかしさや無念さが、今回も切ない。

一方、事件の捜査の方は一進一退ではあるが徐々に、「コフィン・ダンサー」追い詰めていく様は、スピード感にあふれていて目を離せない。最後は「えー!!やられた。」と思わず唸ること間違いなし。
2001-06-03
クリスマスに少女は還る
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 21:16 / [ 修正]
クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)
クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)

著:キャロル オコンネル|出版社:東京創元社|発売日:1999/09|文庫|4488195059|

クリスマスも近いある日、二人の少女が町から姿を消した。州副知事の娘とその親友でホラーマニアの問題児だ。誘拐か?刑事ルージュにとって、これは悪夢の再開だった。十五年前のこの季節に誘拐され殺されたもう一人の少女・・双子の妹。だが、あのときの犯人はいまも刑務所の中だ。まさか・・・そんなとき、顔に傷痕のある女が彼の前に現れて言う。「わたしはあなたの過去を知っている。」一方、何者かに監禁された少女たちは、奇妙な地下室に潜み、力を合わせて脱出のチャンスを窺っていた・・・・。
一読するや衝撃と感動が走り、再読しては巧緻を極めたプロットに唸る。では、新鋭が放つ超絶の問題作をどうぞ。
確かに、「問題作」。これをミステリと見るかどうかは人それぞれだと思う。でも、おもしろかった。最後は、うーん。。
子供を狙った犯罪というのは、本当に絶えなくて腹立たしい。(務台夏子訳)
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