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林望 講演記録
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 11:54 / [ 修正]
備考 (図書館の学校より)

昨日 日記に書いた通り、「図書館の学校」なるものを贈っていただいたので読んでいる。結構充実した内容。1月号は巻頭が林望さんの「図書館へ行こう」という講演記録でリンボウ先生、言いたい放題である。「貸し本屋」と化している図書館への批判、ちっともおもしろくない現代国語教育への批判などなど。示唆に富んだ話しでありました。中でも目にとまったのは下のフレーズ

★ここから引用
そこで、ペナック先生は、じゃ国語教育というものはどうしたらいんだというふうに考えたときに、余計な論をやるからいけない。作品を切ったり貼ったり要約したり、そういう余計なことをするからみんな嫌になる。子どもたちが活字を目で追って行くことが面倒くさいのであれば、こちらから朗読して聞かせてやろう。
中略)
そして、彼は、国語教育の中で一切作品を論ずるのをやめてしまって、ただひたすら読むんです。毎回毎回朗読しかない。日本だったら文部省からにらまれますね。こういうことをしていると。ところが、「教師が読み出すと、氷山は教師の手の中でみるみるうちに溶け出ていくのが見える。つまりどういう意味かというと、まず本をぱっと取り出すと、子どもたちは何が起こるんだろうと思って緊張するというんです。だけど、それを読み出すと、その中からおもいろいものがこう溶け出てくるのがわかって、子どもたちは夢中になるというんです。
(中略)
「坊ちゃん」を読みなさいといって少年少女向きにやさしくリライトして漢字を減らした少年少女向き「坊ちゃん」というのがあるんですが、そういうものを与えるのは、私は邪道だと思うんです。それを勝手に読めというのではなくして、漱石全集に載っかっている原典のままの「坊ちゃん」を先生がおもしろおかしく読み聞かせることのほうが、どれだけ効果があるだろうとかということを思うわけです。そういうことによって彼は「ああ、本というものはおもしろいもんだ。漱石というのはおもしろい人だ。」ということを抜きがたくすり込まれてしまうわけです。読書人としての基本はこういうふうにして形づくられたというべきです。
(中略)
 学校の先生が、本というものはおもしろいということを、小学生の段階ですり込んでくださるということが大切であり、家にあってはまた、手を伸ばせばおもしろい本があるんだけれども、それをよめというのではなしに、そこにただ置いてあると、そこがポイントです。読む権利はあるけれども、読む義務はない。こういうことが、読書という習慣を非常に助長するという所以ではなかろうかと思っております。
(中略)
必読図書だとか、そういうのは本当に子どもに恐怖を与えるだけだから、ぜひ願い下げにしたいというふうに思っておりまして、本は推薦すべきではないというのが私の信念であります。、
★引用終わり
[図書館の学校no.001/p12〜p14より/図書館流通センター]


 話しの中で引用されたペナック先生の読者の権利十か条もふるってましたよ。

1、読まない権利
2、飛ばし読みをする権利
3、最後まで読まない権利
4、読み返す権利
5、手当たり次第に何でも読む権利
6、かぶれる権利
7、どこで、どんな格好で読んでもよい権利
8、拾い読みする権利
9、声を出して読む権利
10、黙っている権利

全てごもっとも。
龍使いのキアス
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 11:50 / [ 修正]
龍使いのキアス
龍使いのキアス

著:浜 たかや|出版社:偕成社|発売日:1997/01|単行本|4037444100|

アギオン帝国は、初代皇帝アグトシャルの夢の呪縛にもう何百年もの間、くるしめられていた。巫女見習いのキアスは、その出生の秘密を知らず、呪いを解くために一人果敢に戦いをいどむ。
NETでよく目にしていた「龍使いのキアス」。ようやく読めました。

巫女見習いのキアス。捨て子だった彼女は「呼び出し」の儀式で何も呼び出せず神殿から追い出されてしまう。キアスは、日頃から考えていた伝説の巫女マシアンを探すことにする。マシアンは300年前に行方不明となり、今でも生死不詳なのだった。キアスは、マシアンを探すうちに自分の出生の秘密を知ることになる。そして、アギオン帝国の真の歴史も。
アギオン帝国は、初代皇帝アグトシャルの夢の呪縛に、もう何百年もの間、支配されていたのだ。気づかないまま。アグトシャルが仕組んだ運命の枠組に若者達は果敢に戦いを挑む。

権力に次第に溺れていく皇帝。そこへ追いこんでしまったマシアン。2人の過ちが、その後300年も人々を苦しめつづける。
人の想いというものは、これほどに強いのだなと思いました。
2001-08-18
バスターのきもち
著者:ロイ ハタズリー
更新日:2007/08/17(Fri) 22:41 / [ 修正]
バスターのきもち
バスターのきもち

著:ロイ ハタズリー|出版社:朝日新聞社|発売日:2002/05|文庫|4022613793|

「男」とくらすようになったペットシェルターに保護されていた犬,バスター。バスターが,が著者の手を借りて口述筆記されたという形式をとった本。
もう,とにかくバスターの日記がおもしろい!
バスターは「男」に愛情を持つようになり,そんな自分を「堕落した」と思っている。ついつい尻尾を振ってしまったり,リーダーを譲っちゃったり。
ただの動物日記じゃなくて,ぴりりとスパイスが聞いている。例えば冒頭部分

ここが好きになりそうだ。ほかに犬は一匹もいない,けど犬になりたい「男」ならいる。おえれが到着すると彼は四つんばいになって,顔をなめるのはやめてくれと言ったが、本気じゃないとわかった。明日は耳をかんでみよう。支配的性格と動物的な賢さのおかげで,おれはこの群れのリーダーになれそうだ。たとえならなくても,話しかけてくれる本物に人間たちがいる。


こんな感じで物語が進んでいく。バスターは,はっきり言って「おりこうな」犬ではない。公園にすむ(つまり女王陛下の)ガチョウを殺してしまい,警察のやっかいになったり(著者は裁判沙汰にまきこまれる),脱走したり。なかなかのバスター(暴れ者)。

全てが実話のこの日記。猛烈におすすめ!
ショコラ
著者:
更新日:2007/08/18(Sat) 21:13 / [ 修正]
ショコラ
ショコラ

著:ジョアン ハリス|出版社:角川書店|発売日:2001/03|単行本|4048970135|

ヴィアンヌ・ローシェは、6歳の娘のアヌクを連れて、2月の謝肉祭の最中に「トゥールーズとボルドーを結ぶ道路沿いで光を放っていた」小さな村、ランケネ=ス=タンにやってきた。そして3日後、華やかなチョコレートショップを開く。そこには思わずつまみたくなるようなチョコやキャンデーがいっぱい並び、思わずよだれが出てきそうなオリジナルココアもある。しかし、いまや四旬節(イースター前の断食や懺悔を行う期間)。教会の目の前で日曜日にオープンしているこの店は、教区の厳格な司祭、フランシス・レーノーの怒りを買う。
村の住民たちはひとり、またひとりとヴィアンヌの手作り菓子の魅力に屈していく。…ジョアンヌ・ハリスはこの3作目の小説に、人々の秘密や悩み、愛や欲望を、きわめて軽いタッチで織り込んでいる。登場するのはたとえば、悲しげで上品なギヨームとその死にかけた飼い犬。虐待され、手癖の悪いジョセフィーヌ・ミュスカ。それからヴィアンヌに「ショーウィンドーに飾ってある魔女つきのショウガ入りクッキーを食べていいわよ」と言われたとたん、「超サイコー!」と大騒ぎする子どもたち。それから80代でまだまだ元気いっぱいのアルマンド。彼女にはアヌクの「空想の」ウサギ、パントゥフルの姿が見えるし、ヴィアンヌの正体も見抜いてしまう。しかし、村人のなかには、アルマンドの気取った娘やジョセフィーヌの暴力夫など、レーノーの側につく者も。だからヴィアンヌがイースターの日は「チョコレート祭り」で幕開け!と発表したとたん、「教会」対「チョコレート」、「善」対「悪」、「愛」対「教義」の全面戦争が始まるのだ。

素晴らしく優雅な魔法でコーティングされた、「最高においしい」『Chocolat』は、ヘルマン・ヘッセの短編「Augustus」をも彷彿させる。「中味はクリームみたいにソフトなのが一番」ということを、教え諭すのでなく最高の説得力で証明してくれる、そんな小説だ。
フランスのはずれの小さな村、ランスクネ・スー・タンヌ。村人たちは、教会の教えを忠実に守り戒律を守り、ごくごく静かに暮らしている。いささかの楽しみも許されてはいない。
そんな村にヴィアンヌとアヌークはやってきた。放浪の旅を続けてきた2人はここに居をかまえ、チョコレートの店を開く。
初めは遠巻きに見ていた村人も1人、また1人と店にやってくる。ヴィアンヌは、村人たちの心を読む力を持っていたが、それをひた隠しにする。
静かだと思われていた村が実は教会の「黒い男」に支配されていて、人々の心を蝕んでいると知り、ヴィアンヌは、チョコレート店でささやかな抵抗を始める。

ちょっと不思議な味わいのあるファンタジーだ。ヴィアンヌや老女アルマンド、そしてヴィアンヌの娘アヌークの持つ力やアヌークの見えないペット、パントゥフル。それらのことは、本の仲であまり明らかにされない。そして、教会の「黒い男」のことも。更にヴィアンヌの過去・・・。いろいろな謎がそのまま残されているのに、心に残るまさにチョコレートのような小説だ。そして、生と死のイメージが色濃く流れる本でもある。
文中、ヴィアンヌはギョームに「あなたの信じるものは?」と聞かれ、こう答えている。「わたしの信じているのは、幸せであるってことが、一番たいせつだってこと」
と。
幸せとは、他人から与えてもらうものでも、管理されるものでもない、自ら「しあわせである」と感じることなのだと気づかせてくれる1冊だ。
アバラット
著者:
更新日:2007/08/17(Fri) 16:49 / [ 修正]
アバラット
アバラット

著:クライヴ バーカー|出版社:ソニーマガジンズ|発売日:2002/12/18|単行本|4789719731|

―母なる大洋イザベラ海とそこに浮かぶ25の島々の世界。亡霊たちのひそめきが響きわたる廃墟、陽光に満ちた楽園、9年にいちど卵から人間の子を孵えす鳥の棲む島、海賊たちの根城、歓楽の不夜城、そして、残忍な王が支配する真夜中の島、謎に満ちた25時の島…。異形のものどもがうごめき、昼と夜がせめぎあう。アバラットでは、すべてのことが起こりうる。どこか、まだあなたが知らないところに、“時”が“場所”となる世界がある。未知なる旅の扉は、いま、ここに開かれた―アバラットへようこそ。
キャンディの冒険は,正直言ってちょっと陳腐だったけれどそれでも愉しめた。登場人物がどれも強烈で,これほどの亜人種?を造り上げるのはすごいなあと思う。イメージがわきやすい描写に本人が書いた挿絵と来れば映画なんかにしなくても十分だと思うけど。
気になったのは訳。すごい古いいいまわしあり,難しい言葉ありと最初は抵抗があった。慣れてくると,結構気持ちがいいです。何だろう,うーん八犬伝とかを読んでいる気分すらしてくる。
巻末の「クレップ年鑑」を先に読むと世界観は分かりやすいかも。私は結局読んでいません。
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